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共通テストの国語(21) 選択肢の絞り方⑤──絞り込み方のまとめ

2023年10月15日 勉強方法

(2022/12/30執筆)さて、ここでいったん、まとめをしておこう。2021年度(令和3年度)共通テスト第1日程・国語 第1問 香川雅信『江戸の妖怪革命』「問4」の解法である。

以下にすべての選択肢をもう1度示す。そして今回は色分けではなくて、各選択肢のダメな箇所に、「×」とアンダーラインを施してみよう。

「① ×妖怪が、人工的に作り出されるようになり、神霊による警告を伝える役割を失って、×人間が人間を戒めるための道具になったということ。」(ダメ率61.3%)

「② 妖怪が、神霊の働きを告げる記号から、人間が約束事の中で作り出す記号になり、架空の存在として楽しむ対象になったということ。」(ダメ率0%──正解)

「③ 妖怪が、伝承や説話といった言葉の世界の存在ではなく視覚的な形象になったこと×によって、人間世界に実在するかのように感じられるようになったということ。」(ダメ率41.1%)

「④ ×妖怪が、人間の手で自由自在に作り出されるものになり、人間の力が世界のあらゆる局面や物に及ぶ×きっかけになったということ。」(ダメ率50.8%)

「⑤ 妖怪が、神霊からの警告を伝える記号から人間がコントロールする人工的な記号になり、人間の×性質を戯画的に形象した娯楽の題材になったということ。」(ダメ率15.9%──ダミー)

本番でもこのように、選択肢にはサイドラインや×印くらいをつけながら検討した方が、たぶんいいだろうと思う。それくらいの作業ならば、解答時間にはあまり影響しない。ダメ選択肢を視認できるから、時間があれば見直しにも便利である。本文と照らし合わせても正しいかどうか判断できないような部分には「?」などをつけておく。そういう問題は最後まで正解できるかどうか分からないので、どれかの選択肢を選んでおいて運を天に任せるしかないが、疑問箇所に印をしておけば、自己採点の際に確認と反省がしやすい。

さて、それでは同じ本文『江戸の妖怪革命』を使って、問3→問2の順で、さかのぼるようにして問題をやってみよう。

すべてをいちいち解説すると文字数を費やすので、以下に選択肢の「ダメ部分」をアンダーラインで示しながら引用する。わたくしQ氏の解読結果によるが、客観性は保っているつもりである。ダメ率も算出しているので、自分の検討結果と合っているかどうか確かめてほしい。

ダメ選択肢がなぜ「ダメ」なのかは、アンダーラインを参考に自分で考えてみてほしい。

問3 傍線部B「アルケオロジー的方法」とは、どのような方法か。(中略)

① ある時代の文化事象のあいだにある関係性を理解し、その理解にもとづいて×考古学の方法に倣い、その時代の事物の客観的な秩序を復元して描き出す方法。(ダメ率47.1%)

② 事物のあいだにある秩序を認識し思考することを可能にしている知の枠組みをとらえ、その枠組みが時代とともに変容するさまを記述する方法。(ダメ率0% ──正解)

③ さまざまな文化事象を「物」「言葉」「記号」「人間」という×要素ごとに分類して整理し直すことで、知の枠組みの変容を描き出す方法。(ダメ率22.6%──ダミー?)

④ 通常区別されているさまざまな文化事象を同じ認識の平面上でとらえることで、×ある時代の文化的特徴を社会的な背景を踏まえて分析し記述する方法。(ダメ率32.4%)

⑤ 一見関係のないさまざまな×歴史的事象を「物」「言葉」「記号」そして「人間」の関係性に即して接合し、×大きな世界史的変動として描き出す方法。(ダメ率22.4%)

これは、明瞭な2択とは言いがたい。④は「変容」という時間軸に触れていないからダメだが、同じく時間軸の変化に触れていない①は、「考古学」の語に引きずられるそそっかしい受験生を陥れるトラップで、一読では正解候補に見えてしまう。⑤は時間軸の変化に言及しているものの、それをやけに「歴史」に引きつけて説明してしまっており、「知の枠組み」の話が出てこないからダメである。強いて言えば③がダミーかと思われるが、純粋にダメ率を計算すると、ダメな部分が最も少ない不正解の選択肢は、僅差で⑤となる。

もっともらしい攪乱要素が散りばめられていて、けっこううまい設問だと思う。

次は問2である。

問2 傍線部A「民間伝承としての妖怪」とは、どのような存在か。(中略)

① 人間の理解を超えた不可思議な現象に意味を与え日常世界の中に導き入れる存在。(ダメ率0%──正解)

② 通常の認識や予見が無効となる現象を×フィクションの領域においてとらえなおす存在。(ダメ率48.7%)

③ 目の前の出来事から予測される未来×への不安を意味の体系のなかで×認識させる存在。(ダメ率26.3%)

④ 日常的な因果関係にもとづく意味の体系×のリアリティを改めて人間に気づかせる存在。(ダメ率46.2%)

⑤ 通常の因果関係の理解では説明のできない意味論的な危機を×人間の心に生み出す存在。(ダメ率23.1%──ダミー)

これは明らかに⑤がダミー。妖怪は「意味論的な危機を生み出す」のではなく、「意味論的危機から生み出される」ものだと、4段落の冒頭にハッキリ書いてあるから、そこをいい加減に見逃してはいけない。ほかの選択肢は似たり寄ったりで、特に②と③は本文の言葉を何となくツギハギしただけの意味不明な内容であり、即座に不正解だと分かる。こういう「意味不明な呪文みたいな選択肢」を選んでしまう受験生は、本文の意味がほとんど分かっていない危険性がある。呪文みたいな選択肢は、即座に斬って捨てられるようにしたい。

問2~問4は非常にオーソドックスな設問で、選択肢の絞り込み方の実習素材として非常によい。今回は出題文も適切で、評論の練習台としては絶好の年度と言える。受験生諸君も、本番前にあちこち手を出すよりは、本年度の本問をしっかり読み込んで、内容が隅から隅まで分かったという感覚を得られるようにしてみたらどうか。「読む態度」をつくる上では、こういう比較的よい問題1問に時間をかけて、じっくり読む練習をした方が近道になる。慌ててたくさん読んで、どれも理解できていないのでは心細い。

さて、そうこうしているうちに大晦日である。大晦日には、共通テスト現代文の、その他のトピックスをまとめよう。